社員が実力を出しきれていない気がする、まだまだ業務を効率化できる余地があると感じる。そのように思ったことはないでしょうか。このモヤモヤを解決する手段の一つに「コーチング」というものがあります。コーチングを社員に受けてもらうことで、社員は自身の持つ力を最大限発揮できるようになり、その結果業務効率も上昇するのです。
この記事ではコーチングについての基本的な概要を押さえ、コーチングを実施することによるメリットを見ていきます。
Contents
コーチングの概要
コーチングの意味
コーチング(coaching)の語源はコーチ(coach)です。コーチは「馬車」という意味であり、馬車には乗っている人を目的地まで送り届ける役割があります。そこから派生して生まれた言葉がコーチングです。つまり、コーチングは「相手を目標達成まで送り届ける」という意味なのです。
コーチングの歴史
1950年代に、ハーバード大学の助教授による「マネジメントにはコーチングが重要なスキルである」という発言がきっかけとなり、コーチングが注目されるようになりました。そして、1980年頃からアメリカで本格的に広がり始めました。さらに、1997年に日本初のコーチ養成機関ができたことがきっかけとなり、日本でも2000年頃から広がり始めました。
現在ではビジネス業界だけでなく、教育業界、医療業界など様々な分野で重要性が認められ、次々に導入されています。
コーチングとティーチングの違い
コーチングは基本的に一対一で行います。また、コーチングのポイントは部下が「自分で」答えを出したり気づきを得たりすることにあります。そのため、コーチングをする側は、相手を目標に向けて誘導する立場に徹し、答えを提示することはしません。その代わり、共感や傾聴の姿勢を大事にし、相手の話をじっくりと聞きます。
一方のティーチングは、一対多数で行うことがほとんどです。ティーチングのポイントは、相手に答えを示すこと、ノウハウを与えることにあります。そのため、ティーチングをする側から積極的に答えを提示し、気づきを与えます。授業のようなものだと考えていただければ良いでしょう。
コーチングの必要性とは|メリットを解説
では、コーチングには一体どのようなメリットがあるのでしょうか。
- モチベーションが上がる
答えを出すのはあくまでコーチングを受ける、部下自身です。誰かに押し付けられた答えより、自分で出した答えの方が納得しやすいでしょう。自分で出した答えを元に行動することでモチベーションにつながり、業務の効率化を期待できます。
- 上司と部下の距離が縮まる
コーチングは、その特性から一対一で行うことが基本です。普段から接点のある相手でも、改めて一対一でじっくりと話をする機会は意外にも少ないのではないでしょうか。時間をとってしっかりと話すことで、上下関係にある間柄でも心理的な距離が縮まります。
- 部下自身でできることが増える
そもそも、コーチングを実施する目的は、部下のスキルアップにあります。そのため、コーチングを成功させたならば、部下が自分自身でできる仕事内容や量は増えていることでしょう。その結果、上司の介入や手助けの必要性が減り、会社全体の業務効率が上がります。
- 新たな可能性を引き出せる
じっくりと対話を積み重ねる中で、新たな気づきが生まれることがあります。部下自身も認識していなかった可能性を引き出すことで、スキルアップに繋げることができます。
コーチングのデメリット
上でみたように、コーチングには多くのメリットがあります。その一方、コーチングを実施する際にはデメリットについても理解しておかなくてはなりません。
- 時間が取られる
コーチングは一対一で行うため、それ相応の時間が必要になります。そのため、既存の業務を圧迫させてしまう可能性が考えられます。
- 長期戦になる
コーチングは、実施してからすぐに効果が出るものではありません。定期的に何度も繰り返して行い、じわじわと効果が出てくるものです。長期戦になるため、最初のうちは無駄な時間を費やしていると感じてしまうかもしれません。
- コーチングができる人材がいない
そもそも、コーチングをするためにはコーチングできる人材が必要です。しかし、コーチングができる人材が社内で見つからない場合があります。
コーチング導入事例
コーチングを導入したことで、様々な企業が成果をあげています。ここではコーチングの導入事例とその結果を具体的に見ていきます。
チームの成長
「ビジネスコーチングで、チームを成長させた成功事例もあります。
Bさんは入社まもない若い社員で構成されるチームのリーダーとなりましたが、経験の浅いメンバーにとって、それぞれの目標数字を達成するのは難しく、成績が振るわない日々が続きました。
やり方を説明して指示するティーチングの方法では成果が出ないため、Bさんはコーチングの方法を導入することにしたのです。「クライアントに対して、どのような提案をしたら成果が上がるか」などを問いかけ、それぞれが自分で考える力を身につけるよう働きかけたのです。
そして、メンバーの話に耳を傾け、自主的に行動する力を引き出した結果、チームは成績を上げて表彰されるまでになりました。」
(引用:https://hrd.php.co.jp/management/post-1273.php)
経験の浅い社員でも、コーチングによって飛躍的に成果を上げられた事例です。成果を上げられたのは、自身で考える力が身についたこと、主体的に行動できるようになったためです。答えを指示するティーチングではなく、自分自身の力で考えるよう仕向けるコーチングを取り入れることで、応用力も身につきます。
ルーティンワークの生産性向上
「ビジネスコーチングにより、ルーティンワークの生産性を向上させた成功事例もあります。
Cさんが勤務する工場では、業務改善のためにビジネスコーチングを導入し、上司が週1回30分ほど部下と面談するという取り組みを始めました。
『何のためにこの作業をしているのか』『効率を上げるためにはどうしたらよいか』という問いかけを繰り返した結果、製造ラインの不良率が下がって生産性が上がるという成果が得られたのです。」
(引用:https://hrd.php.co.jp/management/post-1273.php)
コーチングを導入したことで従業員のモチベーションをあげることに成功した事例です。ルーティンワークは、その目的や意義を見失いがちになってしまいます。それでも、自身が引き受けている仕事の意義を考えたり、効率性を求める姿勢を作ったりすることで、仕事への意識を変化させることができました。
コーチングする側の役割や手法
コーチングが成功するか否かは、コーチングをする側の腕によるところが大きいです。そのために、コーチングをする側の役割や手法について知る必要があります。
コーチングを行う側の役割
繰り返しになりますが、コーチングの目的は相手に答えや気づきを自分で発見してもらい、能力ややる気を引き出すことです。そのため、積極的な指導ではなく傾聴に回る姿勢が必要です。しかし、ただ聞いているだけでも、相手はなかなか答えに辿り着けません。相手を答えに導いていく問いかけをすることが大事なのです。
コーチングの手法の4段階
- 現状の確認
まず、相手の現状を把握しましょう。現在の立ち位置、持っている目標、目標までの進捗具合を一緒に確認していきます。相手と自分の間に認識のズレが生じないようにするために必要な作業です。
- 目標の具体化
多くの場合、抽象的な目標はあっても、具体的なゴールは決まっていません。そのため、目指すべき地点を明確にします。明確で具体的な目標がある方がそこまでの道筋をイメージしやすく、モチベーションにもつながります。
- 課題の洗い出し
定めた具体的なゴールに対して、様々な障害となっているものがあるはずです。その障害は、自分に足りない能力であったり、自分では変えられない物理的なものであったりします。それらの課題を取り去っていくために課題の洗い出しをします。
- 行動案の作成
洗い出した課題に対して、自分がどう行動し対処していくか考えてもらいます。自分に足りない能力をどう補うか、自分で変えられない問題なら他の手段は取れないのか、具体的に考えてもらいます。
自社内にコーチングできる人材がいない場合
コーチングを外注して行う
コーチングは誰でもできるわけではありません。社内にコーチングできる人材がいない場合や時間的余裕がない場合は、外部に委託して行うこともできます。その際、外注先はどのような点に着目して選ぶべきなのでしょうか。
主役はクライアント自身
クライアントが主役となっているプランを選ぶことが大切です。クライアント自身が行きたい方向を決め、コーチングする側は側でサポートするだけという状態が望ましいコーチングのあり方です。
確かに、グイグイ引っ張ってもらう方が最初は頼もしく感じられるかもしれません。しかし、それではただのティーチングになってしまいます。自分たちで考えて動く機会が奪われてしまうのです。また、目的地を勝手に先方に提示され、それについていくだけになると、いつの間にか自分たちが求めていた結果と乖離してしまうことがあります。
適宜ノウハウを共有してくれる
いくらコーチングは聞く姿勢が大事とは言っても、聞くだけ、そばに寄り添うだけならわざわざ外部に頼む必要はありません。迷った時やどうしてもわからない時などのサポートは一定必要になってきます。必要な時には必要なサポートをしてくれるところを選びましょう。具体的には、実効性のあるノウハウを適宜提供してくれる、などのサポートが求められます。
コーチングのゴールが明確になっている
人は誰しも改善できる点が無限にあるため、コーチングに明確な終わりはありません。それを逆手にとって、ずっとコーチング契約を続けようとされる場合も考えられます。
しかし、ダラダラとコーチングをお願いしていてはコストが嵩んでしまいます。そのため、コーチングのゴールが明確に決められており、自社内にノウハウを構築して独立をサポートしてくれるところが信頼できると考えられるでしょう。
弊社が提供するコーチングプラン
弊社が提供できるコーチングプランは、クライアントを主体としています。また、実務はクライアント自身に行っていただくことにより、リーズナブルな価格を実現できました。私たちがこれまでの現場で培ってきた、実効性のあるノウハウを適宜提供いたします。
そして、最終的にコーチングを卒業してもらうことを前提とし、そのためにクライアント先に将来に渡って使えるノウハウを構築して参ります。実効性のあるノウハウを自社内に構築したい方、自分たちで実務をすることで経験を積みたい方はぜひ、こちらの記事もご参考にしてください。
また、当プランはリスキリング補助金の対象になっております。リスキリングは国を上げて推進されているものなので、補助金が充実しています。貰える補助金を有効に使い、少しでも低いコストでコーチング、リスキリングを実施しましょう。リスキリングやその補助金についてはこちらの記事で解説しています。
コーチングをして事業拡大を図る
コーチングは手間がかかる上、短期間で成果を実感できるものではありません。しかし、それを超えるメリットがあります。社員にコーチングを受けてもらうことで会社全体の雰囲気も良くなり、業務効率化が進んでいきます。結果としてさらなる売り上げにつながり、モチベーションが一層上がります。このように好循環が生まれるのです。
実際、コーチングによって成果を出している企業も多数存在します。より早期にコーチングを取り入れるほど、より早く好循環に入れるため費用対効果は大きいものとなります。コーチングを取り入れ、事業の拡大を狙っていきませんか。