DXに着手したくとも自社にDX推進をリード出来る人材がいない。どんな人材をリーダーにしたら自社のDXが成功するのかがわからない。そんな企業は多いだろう。DXリーダーに求められる資質とスキル、さらに、DX推進に必要な経営者の心得についてわかりやすく説明する。
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DX推進に必要なのは“デジタルエンジニア”ではなく、“変革推進リーダー”

DXとはそもそも何を意味するか
DXリーダーについて説明する前に、DXの定義を確認しておこう。DXとは既存の組織、ビジネスのやり方をデジタルにリデザインする活動だ。
コロナ禍で経験したように、付加価値を生み出し提供する場の多くはアナログからデジタルに移行した。今後、ビジネスを取り巻く環境変化のスピードは速まることはあっても緩むことはない。変化に迅速に適応できない企業は、顧客獲得、優良な社員の獲得などあらゆる面で優位性を失なってゆく。いま必要とされるのは、環境変化に対応すべく付加価値を生み出し、デジタルを用いて組織変革をリードできる人材だ。つまり、その推進リーダーたる者が、DXリーダーなのである。
DXリーダーはデジタル化についての知見やスキルがあるだけでは務まらない
誤解されがちであるが、IT技術に優れたデジタル人材がDXリーダーに適任という訳ではない。デジタル化についての知見に加え、ビジョンを描き、社内を牽引し、変革を実現する推進リーダーが求められる人材なのだ。
DXリーダーに必要なスキルは改革を成し遂げるイネーブラーとしての力

イネーブラーとは、「成功・目的達成を成し遂げる人」
DXリーダーに必要な能力は何だろうか。前述の通り、DXとは既存の組織、ビジネスモデルをデジタルにリデザインする組織改革だ。求められる能力のうち最も重要なのは、ビジョンを描き、社内を牽引し、実現に導く「イネーブラー (enabler)」としての力である。イネーブラーは、成功・目的達成を可能にする人・組織・要因・手段といった意味を持つ。
ビジョンを描くためには、自社の属する業界、自社についての理解、デジタル技術の知見は無論のこと、経営トップとの相性、コミュニケーション力も必要となろう。さらに、DXにおいては、社外、海外にも広く目を向けて、他社との連携や労働力のソーシングなども踏まえて最適解を考え、実行することも必要となってくる。
DXリーダーに必要なビジネススキル・力
- イネーブラー力:ビジョンを描き、その実現を可能にする力
- デジタル技術・デジタル化知見:自社の課題解決に最適なデジタルソリューションを選別・提案できるだけの知見
- 自社および業界への理解:業界を俯瞰し、今後の流れを読む力も必要
- 経営トップとの相性、コミュニケーション力:企業変革を成功させるには経営トップとの相性、コミュニケーションも必須。イエスマンにならず、言うべき局面では意見を上申できる経営者との信頼関係も必要
- 柔軟さ・オープンマインド:デジタル前提の世界では、企業規模、国境がどんどん関係なくなる。異業種参入もますます増加するだろう。自社や業界慣習に囚われず、社外、海外に目を向け、他社とのイノベーションやプラットフォーム協働、必要な業務のソーシングなど、社外、海外との連携なども取り入れながら最適解を考え、実行することが必要となってくる
DXリーダー人材が社内にいない場合のソリューションは“社内外の合わせ技”

「DXリーダー人材が社内にいない」場合は混成チームの設置が有効
DXリーダーに必要な能力やスキルはわかっていただけただろう。では、適切な人材がいない場合はどうしたら良いだろうか。実際、大半の日本企業がこの悩みを抱えている。
DXに早期に着手しつつ、継続可能な取り組みとするためのソリューションは「社外と社内の合わせ技」である。
社外と社内の合わせ技とは、すなわち、社内外の優秀な人材からなる混成チームの設置である。他社でのDX経験が豊富なコンサルタント、あるいはDX推進経験のあるマネジャークラスを採用し、外部ノウハウを社外から取り入れつつ、社内では、業界知見、業務知見、社内横断でのコミュニケーション能力を持った優秀な人材を登用し、社内外混成のプロジェクトチームを設置する。プロジェクト遂行を通じて、将来的にDXを担う人材も育成するのだ。
DXリーダーはオンラインクラスやオンラインワークショップで育成可能か
自社に適切な人材がいない場合の対処法として、管理職レベルをDXのオンラインクラス、オンラインワークショップなどに派遣し、DXリーダーとしての育成を試みる企業もあるだろう。完全に無意味とまでは言わないが、果たしてこの方法で急激な環境変化に本当に対応できる様になるのか、冷静に考えてみて欲しい。
日本の過半数の企業が、経営層・管理職層・IT部門・非IT部門すべてにおいて、自社のDX戦略を推進可能な人材は足りないと認識している。ゆえに、実現可能な方法で対応をしていくしかないのは事実であるが、「DXは何のために推進するのか」を考えた上で対応していく必要がある。
DXコンサルの活用:自社に不足している知見を短期間で補うために

DX人材の取り合いが起きている
コロナ禍によりDXの必要性が顕在化したことで、労働市場でDX推進人材の奪い合いが起きている。前述の能力がすべて揃った優秀なDX人材を採用できればよいが、実際には容易ではないだろう。そんな中で、短いリードタイムで外部の知見を獲得できるDXコンサルの活用はDXをスピーディに導入するための有効な手段と言える。
DXコンサルは、自社でどんなDXを進めるべきかといった戦略・施策立案から、導入テクノロジーの選定、実際のプロジェクト推進、PDCA設定、社内人材の育成までと幅広く牽引、伴走してくれる。
すでに自社課題が明確な企業もあれば、何から着手してよいかわからない企業まで多種多様なので、コンサルは自社ニーズに合わせて活用すればよい。DXコンサルについて、詳しく知りたい場合は、以下の記事も合わせて一読して欲しい。
経営者は、DX進展=世界と同じ土俵で勝負する時代へのシフトと認識すべき
日本は諸外国に比べDXで圧倒的に遅れている
日本は諸外国に比べてDXの推進スピードが圧倒的に遅れている。OECD統計によれば日本のICT投資額は1995 年とほとんど変わっていないが、米国では3倍、英国でも1.5倍となっている。また、経産省のレポートによれば国内の実に9割以上の企業が、DXにまったく取り組めていない「DX未着手企業」か、散発的な実施に留まっているという。(2020年12月DXレポート中間取りまとめ)
あらゆるビジネスがデジタルでつながった世界では、ビジネスの国境が低くなっていく。過去1年を振り返っても、コロナ禍により、人々は、オンライン会議にzoomを使い、宅配ではUber Eatsを、余暇にはNexflixを観る、と言ったように、デジタル消費が格段に浸透した。
しかし、オンラインの世界で成功している日本企業があまりに少ないことに、気づいてはいない人はいないだろう。同じクオリティのサービスを提供してくれるなら、言語の問題がない限り、あえて国内企業を選ぶ必要はない。翻訳サービスの質も格段に進歩している。今後、DXによってボーダレス化がますます加速していくことを踏まえ、日本の経営者にはぜひとも危機感を持って、DXに本気で取り組んで欲しい。
DXリーダーがいなくてもDX推進は可能

説明してきたように、日本企業にとってDXは必須かつ喫緊の課題であり、その実現にはDXリーダー足りうる人材が不可欠だ。しかし、必ずしも自社にそうした人材を抱える必要はない。合わせ技でも構わない。ぜひDXの一歩を踏み出して欲しい。
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