ヒートマップとは何か? – 無料ツール各種と機能差・実際の改善ケーススタディ指南

この記事では前半では前提知識、ヒートマップとは何か、主な機能や活用方法、無料で使えるツールをご紹介します。無料版の中の機能差や、有料版にすべきタイミングなどとなります。

後半では実際の改善ケーススタディーを実施します。ヒートマップを用いて、どのような条件、タイミングで、ページのどの部分を、どのような機能を用いて改善すればいいかの実際と、ベーシックな鉄板改善手法までを画像付きで説明します。

弊社コンサルティングにて案件に介在するジュニアレベルの方やインターンの方への教育コンテンツとしての記事となります。またヒートマップを覚えたい企業内でのマーケターの方は参考にしてください。

ヒートマップとは何か?

ヒートマップとは、ウェブサイトやアプリケーションの特定のページ上でユーザーがどこをクリックしたか、またはどの部分を最も視覚的に見ているかを視覚的に表現したものです。

ヒートマップとは何か?

参考:Microsoft Clarityの画面

例えば、色の濃淡や温度でユーザーの行動や離脱を示し、クリックされる場所を可視化します。タイミングとしては、ウェブサイトやアプリケーションリリース後のパフォーマンス分析、そして定期的な改善のためのユーザビリティテストなどで利用することができます。

特にCV(コンバージョン)の改善や、新しいデザインをテスト、ユーザーの行動を理解してUIを改善する際には非常に有効です。またユーザーの興味や関心が変わる可能性がある、大きな変更や更新が行われる前後にも利用すると良いでしょう。

ヒートマップの主な機能

主な機能としては3つあります。以下で詳しく説明します。

ユーザーがクリックした場所の可視化

まずはクリック場所の把握です。WEBサイト上でユーザーがクリックした場所が一目でわかります。

ヒートマップの主な機能-ユーザーがクリックした場所の可視化

クリック数が多ければ多いほど色が変わっていきます。

スクロール率

ヒートマップの主な機能-スクロール率

次にスクロールです。一番上が100%として下に移動するに従って低くなっていきます。

こちらの%でどこで離脱したか? がわかります。コンテンツニーズが合致しているかの判断や、回遊導線の設置しどころの判断などに活用できます。

熟読エリア

次に「熟読エリア」のような分析UIがあります。

ヒートマップの主な機能-熟読エリア

ページ上で長く表示(熟読)されている部分は赤く表されます。どこに興味が引けているかという部分を色で表示したものです。

ユーザー行動のレコーディング

一部ヒートマップに搭載されている機能です。スクロールとクリック行動をレコーディングしてくれる便利機能です。

ツールによってはGAと連携しCVした人のみのスクロール・クリック行動を抽出してくれます。

*とあるECサイトの、実際の行動レコーディング例

これらを適する場面で、適する機能を使い、改善へ導くことが可能になります。

無料で使えるベーシックなヒートマップツール3選と特徴

次に、無料で利用できるヒートマップツールとしてベーシックな3選のご紹介です。マーケティングの現場でよく使われるツールと機能差をご説明します。

他ツールや外資ツール含めると数十ありますが、基本的には以下のいずれかに選定を帰結させることが多いです。(*以下の機能や料金は2024年4月時点の情報です)

1.User Insight

User Insightのトップページ

公式サイト:User Insight | ヒートマップ機能を搭載したアクセス解析ツール

マーケティングツールを多くリリースする、老舗のユーザーローカル提供のツールとなり、無料で数万セッション分を解析できるツールです。古くから提供されているので、使い慣れた方も多いのではないでしょうか。

1アカウントで1サイトの解析が可能です。ベーシックな機能は搭載されているため、簡易的な解析ならこれで十分です。

ただし、無料版ではスクロールした後の、特定のピクセル数までしか表示がなされません。改善したい肝心なところで切れることが多く、それ以上見たい場合は有料版へ切り替える必要があります。

しかしながら有料版に切り替える際は都度のお見積もりが必要となり、料金もお高めです。(数万円から)

2.ミエルカヒートマップ

公式サイト:ミエルカヒートマップ

機能的にはUser insightとほぼ同じです。機能解放幅やスクロール幅はミエルカの方に分があります。

SEO分析改善ツールの「ミエルカ」と連携可能なことが一つの特徴です。SEOのKW分析、順位と機能連携が可能であり、ヒートマップを連携させることでSEOと共にCV向上の予測までをセットで提案してくれます。(その機能を使うにはSEO分析改善ツールの「ミエルカ」の契約が必要ですのでご注意)

料金的にはコストパフォーマンスが良く、有料化する場合でも9,800円〜19,800円(税別)で一定の機能開放がなされます。

参考:ミエルカヒートマップ プランページ

また上画像の右側の通り、サポートが手厚いのも特徴の一つ。ファベルカンパニー様はWEBマーケティング黎明期から解析ツールを提供していた企業でもある為に、人員や体制が厚いです。

ミエルカヒートマップをサポートつきで有料にする場合でも、相見積を取るとUser insightより割安になることが稀にあります。

3.Microsoft Clarity

公式サイト:Microsoft Clarity – Free Heatmaps & Session Recordings

マイクロソフトが無料で提供していますが、かなりの機能の解放をしているツールです。上の二つのツール機能は基本的に網羅、かつ競合が有料で提供している機能を無料で付加しています。

以下は開放している機能の一例です。

  • 基本的な機能は網羅しつつ、特定のセグメンテーションが無料で可能
  • IPアドレスで流入企業が把握可
  • 1つのアカウントで分析できるサイト数や閲覧回数が決められていない
    • 複数のサイトでも制限を気にすることなく分析ができる
  • レコーディングやカーソルの動きを追える
  • GAと連携可能
    • GAのCV設定と連携することで、CVした人のみのセグメントを作りレコーディングやクリックを抽出可能。

より詳細な分析や高度な機能を利用するには有料プランにアップグレードする必要があります。しかしながら無料で開放されている機能自体を使い切れない場合の方が多いのではないでしょうか。

結論、どの無料ツールを選べばいいか?

結論から言えば、2024年4月現時点で、無料の中で一番機能性が高いのはMicrosoftのClarityであり、こちらを入れておけば、どのようなケースでも対応できることが多いです。(熟読はクリックがあれば事足りるので個人的経験則としてはいらないです)

ヒートマップは結論、どの無料ツールを選べばいいか?

他の方も多くコメントしているのですが無料時点で他社の有料版を凌駕しています。また推察ですがMicromoftが本気を出しこのツール領域に攻めてきたかと思われます。こちらは、日が経つごとにつれ、状況も変わる可能性がある為に随時更新していければと考えています。

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さて、ここからは実際のケーススタディーに、具体のHow toとTo doに移れればと思います。内容としては以下をご説明いたします。

  • 着目するにあたり履き違えてはいけない前提条件とは何か?
  • どのようなタイミングで、どこのページにて、何を着目ポイントとし、改善施策に落とすべきか?
  • ヒートマップを用いたベーシックな改善施策3つの具体的なやり方

実施して効果が上がる部分、やっても意味のないポイントの説明、具体的な施策パターンの方法を解説します。

ヒートマップは意味がない? どのようなタイミング・ページで改善に使えるか

CV(コンバージョン)率改善や回遊率の向上、およびUI/UX改善に有用です。例えばCVに直結するLPの改善や、問い合わせフォームなどのCRO(Conversion Rate Optimizationの略、コンバージョン率を最適化させること)にも有用です。

WEB検索のサジェストを見ると「意味がない」と検索されている方もいるようですが、おそらくは

  • 前提条件
  • 改善のタイミング・着目するページ・そこからの着目ポイント

が間違っていると推察されます。それぞれ解説していきます。

前提条件の失念

ヒートマップは基本的には、主にCVRの改善や導線の改善に使われるものです。主な失敗パターンは二つあります。以下は概念図です。

原因1:規定流入母数の影響を考えられているか?

まず一つは母数の①規定流入の失念です。ピラミッドの底辺の流入がないのに必要以上に改善を重ねてしまっている人が多い印象です。

基本的には流入×%で考えなければいけません。その結果が頂点である成果です。

まずは流入がないとレートの平均値が出ません。また、増やしながらですと数値は随時変動していきます。まずは流入を増やすが先、そこからCVのレートも維持するという並行実施が必要です。

例えばSEOの順位を上げる、もしくは微額でも良いので、広告を増額してまずは規定流入を得るなどの方が先決です。

原因2:コンテンツ特性とCVRを考えられているか?

次に、コンテンツ特性です。LPは成果が出やすいですが、対してSEO記事などはどう頑張ってもCVRが上がらない記事もあります。その特性の見誤り齟齬から、行なっても仕方がない施策を頑張ってしまっている企業も多い印象です。

例えばBtoBの場合のLPであると1%いけば御の字です。一方ECであると3〜4%出ることもあります。一定すでにレートがある場合はそれ以上頑張っても仕方がありません。

詳しくは以下に解説していきます。

適するタイミング/実施ページと着目ポイント

前提として、流入が多いページに使うと有効です。例えば以下のようなパターンです。

上の画像はGA4のカスタムレポートの例となります。ランディングページに対する流入・CVをグラフでマッピングしました。

例えばキーイベントがゼロの部分、流入UUが月間に数万ありますが、CVがありません。このような場合は、多量の行動データが取れるので改善がしやすくなります。

また前提としてCVR(コンバージョンレート)は特定のコンテンツディレクトリごとに、一定の「あるべき確率」があります。例えばSEOコンテンツだと0.01%程度になることもありますし、LPだと1%取れることもあります。

着目ポイントとしては、「流入に対するCVRの前提条件」を当てはめて著しく低い場合、何かしらのボトルネックが存在することが多いです。改善すべき部分としてピックアップが好ましくあります。

*なおこちらを実施するにあたり、GA4の知識が必要になりますので、後日更新できればと思っています。

適さないタイミング/実施ページと着目ポイント

一方、以下のような場合には適しません。経験則は以下の二つに大別できます。

  • ほとんど流入がない
  • そも、CVRが大幅に上がるようなコンテンツ特性でない

まず前者は、改善されてもコンバージョンのレートとして%が多少変わるのみとなり、前提の流入母数を失念して改善して結果が出ないと嘆いている人が多い印象です。前途のピラミッドの図の底辺の流入にあたる部分です。

後者はコンテンツに対するニーズ齟齬です。例えばコンテンツマーケティングにおけるSEO記事の「** とは」などのKWの流入記事です。こちらはナレッジを知りたい為にどう導線を改善しようがCVRは上がりづらいです。どう頑張っても0.01%/UU以下になってしまうことも多いです。

このような際は細かな導線の改善より、流入に対するユーザーニーズにニーズお役立ち資料を早期に作り文中にDLするバナーを加える、などのユーザーのオーガニックなニーズに沿わせた施策の方が好ましくあります。

以上をまとめると以下となります。

  • ユーザーの流入前提条件を加味する
  • コンテンツ特性を加味する
  • その上で、改善方針として好ましいものを策定する

そも施策に意味があるか否かを見極める為、前提を履き違えないようにしましょう。

ヒートマップを用いたベーシックな改善施策3つ

前提としてページ流入やそこからのCVがわかり、ページの見定めが出来たら、意外とやることは単純です。具体的には以下が定番施策となります。

  1. ページビューが多い場所、または離脱する前に導線設置
  2. 熟読箇所もしくはクリック箇所にCVポイントや回誘導線を設置する
  3. CVした人の導線レコーディングを用いボトルネック改善

順を追って説明していきます。

1.ページビューが多い場所、または離脱する前の導線設置

鉄板としては、FV(ファーストビュー)がこれに当たります。必然的に全員が見る部分ですのでどこかに導線を設置することが好ましいです。

内部リンクか、文中バナー、右側カラムの一番上など、いずれかに導線の設置が好ましいでしょう。

また一気に離脱する前も一つの気にするポイントです。(以下参考動画)

一気に50%以下に下回るポイントがあれば導線を設置する、もしくはコンテンツの構成自体を変えるなどの施策に至ることが好ましいです。

2.エンゲージメントが高い熟読箇所

目安4秒以上止まる場所=ヒートマップ赤くなる場所、です。

ここは熟読箇所に当たるので、クリックされやすい箇所と考えていただけると認識が齟齬ないかと思います。導線が無かったりするともったいない場所です

お役立ち資料などのCTAの設置、もしくは回遊すべき内部リンクの設置が一例として存在します。

CVした人の導線レコーディングを用いボトルネック改善

こちら

ヒートマップを活用を覚え効果的にCVを改善しましょう

以上、ヒートマップを用いたケーススタディーでした。要点を覚えれば難しくなく、環境構築さえできれば無料でできますので、ぜひチャレンジしてやってみてください。

弊社ではヒートマップこのような分析からの改善を多く請け負っています。また代理店のジュニアレベルの方に指南を行なっていたり、クライアント企業の担当にやり方を教えていたりもします。もしご希望あればこちらよりお問い合わせくださいませ。

マーケティングにおけるCMOや部長機能を代行

全体整理しチャネルを見定め、CACを最適化。各種施策の立案からチーム組成、ハンズオン実行支援もしくはリスキリングまで。どこまででも貴社に寄り添い並走します。

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Ryoji Takada

Ryoji Takada

座右の銘は質実剛健。PDCAをやり遂げプロジェクト収益化まで愚直にやるのは得意分野。あだ名は夜桜で、昔は格闘技のプロであった時の名残。バイクとファッションと格闘技が好き。

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